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PICK UP

水陰夏座敷

ベジエイション企画投稿作品

 

あらすじ

あなた、狂っているのよ。三和(みわ)は、婦を嫌うぼくに教えてくれた。十七歳になった三和は、すっかり別人になってしまっていた。ぼくを無意識のうちに惑わせているとも知らず、無垢なままであるようにふるまって、「義妹」までもが、「婦」にかわっていく……。

生温く熟れた西瓜を、囓るだけの夏。

うつくしく熟れた西瓜と、穢らわしい蝉の、ひめごとの記憶。

――川へ行こうよ、三和。――

花祖月税

掬水弄花さま・合同誌寄稿作品

 

あらすじ

月に煌く紅爪と、灯に艶めく金色の髪と眼。妖を統べる天狐の彼とともに過ごす紅葉の歳月。安寧の暮らしのなか、ふと、聞き慣れぬ言葉を耳にした人間の娘・橙(とう)。

「今宵は重ね夜月……だとか。なにかの行事のようなものでしょうか?」

そう彼に訊ねてみるが、どうも複雑そうに沈黙され……?

天を穿たんとそびえたつ大鳥居のもとで、目映いばかりの月は、うぶな娘をいたずらに照らし出す。

有機イチゴ

​いちごいろにひかる

掬水弄花さま・合同誌寄稿作品

 

あらすじ

​黄昏郵便屋の篝火(かがりび)に届いた一通の手紙。一見白紙のように見えたが、夕陽にかざすとあるメッセージが浮かび上がる。それはたちまち篝火にやさしく語りかけ、誘惑した。そして……。

――篝火は、いつも何かを探している。揺らめく夕陽が差す部屋で、おいしいパンを齧りながら。

手の影

影客

掬水弄花さま・合同誌寄稿作品

 

あらすじ

おんぼろ長屋で暮らす弥平(やへい)は、仲間と共に、さちと名乗る婦を駕籠に乗せ、長旅へ出る。道中、冬の山道にさえ儚げにうつくしく佇むさち。駕籠に張られた障子窓に毎夜映し出される影に、弥平はただの獣に成り下がる。

「さち、すまねえ、……やさしく、あたたかい蒲団で抱きたかったよ。本当にそう思ってんだ。信じてくれ、さち」

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